食品業界の平均年収ランキング!業界の課題や成長性は?

私たちの生活には欠かせない「食」を支える食品業界。

スーパーに行けば必ずと言って良いほど置いてある食品を提供している会社や、テレビコマーシャルでよく目にする会社など馴染みある会社も多いと思います。

食品業界の年収とは一体いくら位なのでしょうか。

今回は食品業界全体の平均年収ランキングをご紹介します。

また、年収以外の残業時間や有給の比較表、業界全体の動向・課題など様々な観点で食品業界を分析してみたいと思います。

それでは、早速ランキングをみてみましょう!

食品業界の平均年収ランキング!

第5位 株式会社日清製粉グループ 862万円

  • 売上高  5,400億円
  • 営業利益 272億円
  • 従業員数 6,545名
  • 本社   東京都千代田区神田錦町一丁目25番地
  • 設立年  1900年

製粉としては最大手の日清製粉グループ。小麦粉全般、パン粉、お好み焼き、ペットフードなどを販売し、「マ・マー」などのパスタ食品も有名です。

第4位 日本ハム株式会社 870万円

  • 売上高  1兆2,692億円
  • 営業利益 492億円
  • 従業員数 17,359名
  • 本社   大阪府大阪市梅田2-4-9 ブリーゼタワー
  • 設立年  1949年

日本ハムは、あの人気ソーセージブランド「シャウエッセン」を作っている会社です。ソーセージやハムの加工に強みを持ち、国内食肉加工業界では売上高1位を誇ります。世界の食肉業界でも第4位にランクインしています。

第3位 味の素株式会社 945万円

  • 売上高  1兆1,502億円
  • 営業利益 910億円
  • 従業員数 34,452億円
  • 本社   東京都中央区京橋1-15-1
  • 設立年  1925年

調味料メーカーとしては国内最大手。「Cook Do」をはじめとした加工食品や冷凍食品にも強い会社です。海外での売上比率が高く、アメリカ、中国、ブラジル、ドイツなど19の国と地域に展開しています。

第2位 不二製油グループ本社株式会社 965万円

  • 売上高  3,076億円
  • 営業利益 213億円
  • 従業員数 5,092名
  • 本社   1950年
  • 設立年  大阪府大阪市北区中之島3-6-32 ダイビル本館

「油脂」「大豆たんぱく素材」「製菓・製パン素材」の3つの事業が中心。

1973年から既に東南アジアへの事業展開をしていて、早期からのグローバル進出が特徴です。

第1位 明治ホールディングス株式会社 967万円

  • 売上高  1兆2,408億円
  • 営業利益 946億円
  • 従業員数 16,296名
  • 本社   東京都中央区京橋2-2-1 京橋エドグラン
  • 設立年  1917年

明治製菓と明治乳業が統合してできたのが明治ホールディングスです。

ヨーグルトやチーズなどの乳製品をはじめ、「きのこの山」「たけのこの里」などのチョコレート、「スーパーカップ」のようなアイスなどヒット商品を多数開発しています。

食品業界の年収は平均と比べて高い?低い?

 

(参考:会社四季報業界地図2019年版)

  • 40歳全体の平均年収・・・600万円
  • 40歳時点での食品業界の平均年収・・・573万円

40歳時点での食品業界の年収は平均と比べて「27万円」低いことがわかりました。

だからと言って、食品業界が年収の低い業界であるとは限りません。

食品業界大手企業の平均年収は「800万円〜900万円」と、平均に比べて高いのです。

これは多くの企業でも見られることですが、食品業界でも大手企業と中小企業で年収に大きな差があるです。

食品業界の平均年齢、勤続年数、残業時間は?

次に食品業界大手各社の平均年齢、平均勤続年数、残業時間、有給日数を見ていきましょう。

年収だけを比較するのではなく、残業時間や平均年齢など複数の視点で企業分析をすることでより深い企業理解をすることができます。

平均年収 平均年齢 平均勤続年数 残業時間 有給日数
明治ホールディングス株式会社 967万円 43.0歳 19.1年 15.0時間 11.3日
不二製油グループ本社株式会社 965万円 45歳1ヶ月 17年 19.5時間 9.8日
味の素株式会社 945万円 43.1歳 19.6年 22.7時間 17.4日
 日本ハム株式会社 870万円 42.5歳 18.8年 27.5時間 10.5日
株式会社日清製粉グループ本社  862万円 42.4歳 17.4年 12.2日

上記のどの指標を重視するかはそれぞれ違うでしょう。ここでは分析のポイントをいくつか紹介します。

1.平均年齢は何歳か・・・年収が多少低くても平均年齢が低ければ生涯給与は高い可能性がある。

2.有休消化日数は何日か・・・有休取得可能日数と実際の消化日数を比べることが大切。取得率が低ければ有休申請しづらい社風の可能性も。

3.残業時間は何時間か・・・いくら平均年収が高かったとしても残業時間が多く、体を壊してしまっては元も子もない。

食品業界の市場規模や動向は?今後の課題は?

食品業界の市場規模

  • 加工食品・・・7兆8,667億円(加工食品のPOS(売り上げ)データ集計値、2017年度、インテージ[食品SRiデータ])
  • 食肉・・・3兆1,626億円(畜産の産出額、2016年、農林水産省)
  • 漁業・水産・・・1兆5,856億円(漁業・養殖業産出額、2016年、農林水産省)

食品業界の業界規模の推移は2005年から2013年にかけて、緩やかではありますが増加し続けました。

農林水産省の「平成27年度 食品産業動態調査」によると、2014年 の「食品製造業 製造品出荷額等」は前年より3.3パーセント増となり、3年連続の成長となっています。

「食品」は生活必需品であることもあり、ここ数年市場規模も順調に拡大してきました。

しかし、今後は少子高齢化や人口減少が原因の影響を受け、長期的に見ると国内の食品需要は減少していくと考えられています。

食品業界の動向・トピックス

ここでは、食品業界の動向に影響を与えているトピックスを紹介します。

単身世帯、共働きの増加

現在、単身世帯や共働き世帯が増加している日本では、冷凍食品への需要が高まっています

調理にかける時間の短縮や簡単に済ませることができるだけでなく、分量が小分けになっていることも単身世帯にとっては利用しやすいのも理由の一つです。

消費者の健康志向増加

消費者の健康志向の高まりから、健康効果の高い食品の開発を積極的に行う企業が増えてきました

例えば、カカオポリフェノール配合のチョコレート商品が増えたり、乳酸菌で注目が集まるヨーグルト市場が拡大しています。

機能性の高い製品は高単価で売れることもあり、企業にとっても採算が良いのが特徴です。

円安、天候不順が値上げの原因

平成20年に起きたリーマンショックの影響で世界的な不況が数年間に渡り続きました。それにより、消費者の購買意欲は下がり、食品業界の業績も不振に陥っています。

それに伴って、急速に進んだ円安状態は、原材料の多くを輸入に頼る日本の食品メーカーにとってはよくない状況です。

輸入原材料の占める割合が大きいチョコレートやワインなどの商品は値上げをせざるを得なくなりました。

円安に加え、今日世界各地で起きている異常気象も安定して原材料を仕入れられない原因となっています。

海外進出

少子高齢化や国内の人口減少の影響による国内の売上減少の打開策として、多くの会社が海外進出をしています。

今後の成長が期待できるアジア諸国などで現地企業の買収を行い拡大を進めています

例えば、キューピーは1981年にタイの現地企業と技術連携を行い、また翌年にはアメリアに子会社を設立してマヨネーズの製造を開始しました。

他にも菓子製造メーカーである亀田製薬がベトナムの現地菓子製造会社と合併してスナック菓子などの販売会社を設立しました。

それに加え、海外では日本食が人気で”日本食ブーム”が起きています。日本食は低カロリーなことから注目を集め、日本食レストランも世界中へと広がっています。

海外では宗教や食文化、好みなども日本とは異なります。

このまま海外進出を続けていくには、「現地の食習慣や風習などの文化面」も理解した上で海外展開をすることがとても重要といえるでしょう。

食品業界のこれからの課題

少子高齢化

少子高齢化により人口が減少していく日本では、食品市場の縮小が予想されます。

どんなに安全で便利な食品を生産したとしても、それを消費する人口が減少していってしまっては食品業界の売上は落ちていく一方です。

人口の減少による市場の縮小を、何で埋め合わせるかが大きな課題となっています。

食品もネットで購入する時代に

本来であれば実際に自分で食品を確かめてから購入したいという食品においても、通信販売で購入するというケースが年々増えています。

2018年度以降、約2〜3%の伸長率で推移し、2021年には国内食品通販市場規模は小売金額ベースで4兆135億にまでなるという予測があります。

しかし、配送の人手不足と安全面を考慮したコストの上昇によって、商品通販市場の成長を遅らせるのではないかとの見方もされており、まだまだ課題は残っている状況です。

食品業界にはどんな仕事や職種がある?

食品業界によく見られる特有の職種は主に4つあります。

  1. マーケティング
  2. 商品開発
  3. 営業
  4. 広報

マーケティング

マーケティングとは、市場調査やそこから得た情報を分析し、新商品の開発や改良を目指す仕事です。

世の中のニーズとマッチした商品を生み出しその魅力伝え、購買意欲をかき立てるようなキャンペーンや広告の立案や企画なども行います。

商品開発

商品開発は、原料を選びから調合や賞味期限の設定などを行い、工場での生産システムを検討し、商品を開発する仕事です。

営業

食品業界の営業は、スーパーやコンビニエンスストアなどの小売店に自分たちの会社の商品の売り込みをする仕事です。

売上アップのためのキャンペーン企画を行うこともあります。

広報

広報は食品業界の他の職種に比べ、消費者との関わりが強い仕事です。マスコミや消費からの問い合わせに対応するのも広報です。

食品業界の売上高、営業利益ランキング!【番外編】

食品業界の売上高ランキングTOP3

  • 第1位:日本ハム株式会社 1兆2,692億円
  • 第2位:明治ホールディングス株式会社 1兆2,408億円
  • 第3位:味の素株式会社 1兆1,502億円

売上高第1位は、日本ハム株式会社という結果になりました。

ですが、TOP3全てがの売上高が1兆円を超え、そこまで開きがないことが分かります。

食品業界の営業利益ランキングTOP3

  • 第1位:明治ホールディングス株式会社 946億円
  • 第2位:味の素株式会社 910億円
  • 第3位:日本ハム株式会社 492億円

営業利益第1位は、明治ホールディングス株式会社という結果になりました。

第1位と第2位はどちらも900億円を超えていますが、第3位の日本ハム株式会社は492億円と、トップ2社と比べて差が出ていることが分かります。

おわりに

食品業界の年収ランキングをはじめ、食品業界の動向や職種、売上ランキングなどを説明してきました。

この記事を読んで少しでも食品業界について理解が深まって頂けたら幸いです。

転職を考えている方は、年収だけではなく、業界全体の成長性や競合他社との比較、残業・有給などの複数の視点で企業を分析してみるのがおすすめです。

私たちにとってなくてはならない「食」、そしてそれを支える「食品業界」。

そんな食品業界には、これからも安全で安心な商品を提供してもらいたいですね。

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