契約社員と正社員の違いは?給与や勤務時間、福利厚生はどう変わる?

「正社員と契約社員って具体的に何が違うの?」という疑問にお答えします。

みなさんの中には、

「転職活動中に契約社員としての雇用を提案されたけど、大丈夫かな」

「契約社員から正社員にならないかと上司に言われた。正社員になるデメリットってある?」

などお悩みの方がいらっしゃるのではないかと思います。

雇用形態の違いを正しく理解しておくことは、仕事をする上で大変重要です。正社員、契約社員それぞれにメリットとデメリットがありますが、大事なのは、自分のキャリアプランやライフスタイルに合わせた働き方を選ぶことです。

社会保険は?給与は?退職金は出る?勤務時間は?など、正社員と契約社員の働き方の違いを正しく理解しておけば、「今は家庭や子育てを優先したいから、契約社員の方が合っているかも」「老後のために退職金はちゃんと受け取りたいから、正社員を目指そう」など、自分に合ったキャリアを洗濯できます。

本記事では、契約社員と正社員の違いと共通点をまとめたあと、契約社員のメリット・デメリットについてご説明します。また、契約社員から正社員登用を目指す方向けの確認ポイントもまとめました。

この記事でわかること

  • 契約社員とは何か
  • 契約社員と正社員の違い・共通点
  • 契約社員として働くメリット・デメリット
  • 契約社員から正社員を目指す時の確認ポイント
  • 派遣社員やパートとの違い(補足)

そもそも契約社員とは

正社員と契約社員の違いを見る前に、まずは契約社員の定義についてまとめます。

契約社員の定義

契約社員とは「期間の定めがある雇用契約」をしている社員を指します。労働基準法では、契約社員の契約期間は最長で3年と定められています。高度な専門知識を持っている(スペシャリスト)か、60歳以上であれば契約期間は最長5年です。

契約社員は、3か月や1年といった一定の期間を定めて雇用契約を結ぶため、期間が終了すると雇用契約が終わります。契約期間が終了した時に更新しなければ、別の職場に移ることになります。

一方の正社員は雇用契約の期間に定めがありません。雇用が終了するのは「定年」「退職を願い出る」「会社から解雇を告げられる」の3パターンのみです。

契約社員に含まれる呼称

企業によって契約社員の呼称は変わります。

「嘱託社員」「準社員」「限定社員」といった呼び方の場合は、契約社員としての契約だと考えたほうが良いでしょう。

求人情報や雇用条件通知書で提示された就業形態が契約社員かどうかを、就業前に必ず確認する必要があります。

契約社員と正社員の違い!給与や昇給、福利厚生はどうなる?

正社員と契約社員の違いを表でまとめました。

正社員 契約社員
給与 「月給」or「年俸」 「時給」「日給」「月給」「約束年収」など企業により様々
賞与 会社の業績と連動して、夏季と冬季に「決算賞与」や「業績賞与」として受けとり もらえないケースが多い
昇給・昇進 定期的な給与査定(仕事内容・役割・成果などで判断)による 契約更新時に相談(交渉次第で給与はUP)
福利厚生 福利厚生や各種手当(交通費・住宅手当など)あり 利用できる福利厚生の範囲が狭いことが多い。各種手当が支給されないことも
退職金 企業の制度次第(大手企業であれば、退職金制度が用意されていることが多い) 退職金が出ないことがほとんど
雇用期間 雇用期間を定めない(基本的には定年まで) 雇用契約次第(最長3年・スペシャリストや60歳以上であれば最長5年)
業務時間 社員全員一律 雇用契約次第
二重契約 不可 可能(曜日や時間が被らなければ)
副業 会社による 可能(曜日や時間が被らなければ)
転勤 ある場合も 契約で勤務地を明記すればなし

給与体系や賞与は会社ごとに制度が異なりますが、特に賞与(ボーナス)の面で契約社員は正社員に比べて不利になることが多いです。退職金・福利厚生・各種手当においても、契約社員の方が低待遇になりがちです。

一方、企業との契約で週に何日程度働くかを明記すると、他の企業で働いたり副業したりすることが可能です。複数の企業と雇用契約を結ぶ(二重契約)や副業については、契約社員の方が裁量が大きいと言えるでしょう。

契約社員と正社員の共通点

前章では、正社員と契約社員の違いを見てきました。ここでは正社員と契約社員の共通点を見ていきます。

正社員と契約社員の共通点は、次の4点です。

  1. 直接雇用
  2. 社会保険
  3. 休日・有給休暇
  4. 解雇予告

直接雇用

正社員・契約社員ともに、勤務先の企業に直接雇用されます。

直接雇用とは、雇用主である勤務先企業から業務上の指示を受け、給与も勤務先企業から受け取るということです。

社会保険

社会保険には、国民年金・健康保険・雇用保険が含まれます。社会保険に関しては、正社員も契約社員も同等です。

ただし契約社員として雇用保険に加入していても、雇用保険の被保険者期間が12か月未満の場合、失業給付金(失業手当)を受け取ることができないためご注意ください。

休日・有給休暇

労働基準法で定められた有給休暇は、契約社員にも適用されます。

所定労働日のうち一定数以上勤務していれば、正社員・契約社員に関わらず、支給される有給休暇は同じ日数です。

解雇予告

「契約社員は解雇のリスクがある」と思っている方も多いかもしれません。おそらく「契約期間終了後に再契約されない可能性がある」ため、会社の都合でいつでも解雇されると勘違いしている方がいるのでしょう。

本当のところ会社側は、契約期間が20日以上の契約社員に対して、解雇の予告を30日前までに行われなければなりません。

したがって、会社側からの解雇予告に関しても正社員・契約社員で差はないです。

契約社員のメリット・デメリット

これまでの章で、正社員と契約社員の違いや共通点をまとめてきました。

この章では前章までを踏まえて、契約社員のメリット・デメリットについご説明していきます。

契約社員のメリット

メリットとして5つお伝えします。

メリット①月の給与は正社員と近い

契約社員は雇用期間が決まっていますが、任される仕事内容は正社員に近いか同等です。

したがって仕事内容が正社員と変わらなければ、正社員並みの給与を受け取ることができます。

ただし、前述のとおり賞与(ボーナス)は正社員よりも控えめです。

メリット②自分が得意な仕事ができる

契約社員は、配置転換による業務の変更がありません。

会社事情に左右されず自分の得意な仕事だけできるため、「○○の仕事に対する情熱が強い」といった方にとっては、ご自身の専門性を活かした働き方ができるでしょう。

メリット③出張や転勤のリスクが低い

「今の自宅に住み続け、同じ場所で働き続けたい」という希望が強い方にとって、契約社員は働きやすく感じるでしょう。

労働契約によって勤務地が限定されているため、転勤を強いられる心配はいりません。

メリット④自分の時間を確保できる

契約社員は、契約内容によって勤務時間が定められており、定時に業務を終了できるメリットがあります。したがって、自分の時間が確保しやすくプライベートも充実させられるでしょう。

また、育児や介護といった事情でフルタイム労働が厳しい方にとっては、融通が利く働き方ができると言えます。

メリット⑤退職しやすい

契約社員は契約期間が決まっていません。したがって「多くの企業で様々な経験を積みたい人」・「留学・起業・リカレント教育、結婚・出産といったライフプランがある人」は、契約社員という選択も良いでしょう。

数年後に退職を考えている方にとっては、正社員よりも退職しやすいのが契約社員です。

契約社員のデメリット

続いて、契約社員のデメリットを3つお伝えします。

デメリット①昇進・昇給で正社員と差が出る

正社員の場合は、定期的に給与査定があります。

しかし、契約社員は契約満了まで給料や役職が上がることはありません。もちろん、契約期間終了後の契約更新の時に給与upの可能性もあります。しかし、契約社員の給料増加は企業側のコスト圧迫にもつながるため、過度な給与アップの期待は禁物です。

デメリット②長期的なキャリア形成には向いていない

企業側としては、契約社員に長期雇用を想定していません。したがって、契約社員に対して研修といった教育投資をすることは少ないです。

仕事の継続によって専門知識習得・能力向上につながらないことも多く、ご自身の市場価値を高めるという観点では不向きかもしれません。

デメリット③住宅ローンの審査で不利になりやすい

住宅を購入のために銀行でローンを組む時の審査は、正社員よりも契約社員の方が不利になりやすいと言われています。

雇用期間が限定されている契約社員は、金融機関側にローン返済の継続性について不安視されるためです。

住宅購入の希望や予定があれば、銀行の条件を確かめてみてください。

契約社員から正社員登用を目指す時の確認事項

正社員と契約社員を比較すると、どうしても契約社員のデメリットが目立ちがちです。

そのため、将来的な正社員登用を目指して転職活動を行っている方も多いでしょう。

しかし契約社員から正社員になるためには、事前に次の2点を確認することが大切です。

ポイント①雇用契約書の条件を確認

契約社員として契約を結ぶ前に、雇用契約書の正社員登用制度を確認する必要があります。

契約期間中にどのようなパフォーマンスを上げれば、正社員になるのかを知っておきましょう。

ポイント②転職先の前例を確認

転職先が「正社員登用制度あり」と言っていたとしても、実際に前例がない場合や、正社員登用のハードルが高く、登用人数が極端に少ない場合もあります。

したがって、正社員登用制度の有無だけでなく、転職先企業の具体的な状況をあらかじめ知っておくことが大切です。

契約社員は派遣社員やパートと何が違う?

最後に、契約社員との違いが分かりにくい「派遣社員」と「パート」の違いをご説明します。

契約社員と派遣社員の違い

派遣社員とは、人材派遣会社から各企業に派遣されて働く社員のことです。

契約社員や正社員との違いは、派遣社員は雇用契約を人材派遣会社と結んでいるということです。

雇用契約は人材派遣会社と結び、人材派遣会社と契約を交わしている派遣先で就業します。給与支払いや福利厚生は、雇用主である派遣会社が行い、日々の業務についての指示は派遣先企業から直接受けます。

 

契約社員とパートの違い

パートタイム労働者とは「1週間の所定労働時間が、同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」と定義されます。

パートと契約社員の違いは、大きく2点です。

1点目は、パートの方がシフトの融通が利くことです。契約社員は雇用契約書で定められた曜日と時間で働く必要があります。

2点目は、労働時間の違いによって、パートは社会保険の加入条件を満たさない場合が多いということです。契約社員は社会保険に加入できる場合がほとんどです。

おわりに

この記事では、契約社員と派遣の違いや共通点についてまとめてきました。

就職や転職に際しては、契約社員より正社員のほうが待遇が良いため、正社員もしくは正社員登用がある会社を選びたいものです。

転職先企業の制度を良く調べて、良い転職活動にしてください。

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