商社の年収ランキング!平均年齢や残業時間、有給日数は?【最新版】

高収入業界の一つである総合商社。その中でも5大商社は年収が高いと言われています。

では実際に平均年収はいくらでしょうか。ランキング形式でお伝えします。

また、平均年収だけではなく、5大商社別に平均年齢・有給消化日数・残業時間・平均勤続年数も表にしました。複合的な視点でそれぞれの会社も見てみてください。

さらに商社への転職をお考えの方向けに、商社で必要なスキルや実際の募集内容もまとめました。

最後には、総合商社の動向と今後についても記しました。是非ご覧ください。

商社の年収ランキング!5位から1位を発表!

第5位 住友商事 1304万円

  • 設立 1919年
  • 売上高 4兆108億円
  • 従業員数 連結63,543名

住友財閥系の商社です。18年3月期に純利益が6期ぶりに最高益となる3085億円を記録しました。

今後は「既存事業の価値向上」「次世代ビジネスの創出」を掲げ、19年3月期には3200億円の純利益を見込んでいます。

第4位 丸紅 1322万円

  • 設立 1949年
  • 売上高 7兆3002億円
  • 従業員数 連結41,353名

芙蓉グループの商社です。2018年3月期の純利益は2113億円で、4期ぶりに過去最高を更新しました。

食料・電力・インフラといった非資源分野に強みがあります。

第3位 三井物産 1419万円

  • 設立 1947年
  • 売上高 4兆7,596億円
  • 従業員数 連結42,304円

三井財閥系の商社です。2018年3月期の純利益は4184億円を記録しました。売り上げでは三菱商事に次いで2位の座を奪回したと言えます。

石炭や鉄鋼価格といった資源の上昇がプラスに働きました。

第2位 伊藤忠商事 1460万円

  • 設立 1949年
  • 売上高 5兆835億円
  • 従業員数 連結102,086名

非財閥系の商社です。生活資材から、食料、情報通信といった非資源分野が売上を牽引しています。2018年3月期の純利益は4003億円で、2期連続で最高益を更新しました。

中期経営計画では第4次産業革命に合わせた「商いの次世代化」を掲げています。

第1位 三菱商事 1540万円

  • 設立 1950年
  • 売上高 6兆9225億円
  • 従業員数 連結77,476名

三菱財閥系の商社です。資源価格に左右されやすい資源分野を「市況系」、安定収益型の非資源分野を「事業系」と呼び、現在、市況系が35%、事業系が65%となっています。

18年3月期の純利益は5062億円となり、総合商社で初めて、5000億円を突破しました。石炭価格の高騰が利益を押し上げました。

16年3月期に資源安で最終赤字に転落したものの、完全復活を果たしたと言ってよいでしょう。

総合商社の平均年齢、残業時間、有給は?【比較表】

ここまでは、年収をメインにお話してきました。

しかし、会社選びは年収だけではありません。以下の表を参考に自分が目指す働き方ができる企業を選びましょう。これといった正解はありませんが、一つの指標に囚われず複合的な視点で企業研究を行うことが大切です。

平均年収 平均年齢 平均勤続年数 残業
(月平均)
有給消化
(年平均)
三菱商事 1540万円 42.7歳 18.5年 22.9時間 12.3日
伊藤忠商事 1460万円 41.6歳 17.3年 10.4日
三井物産 1419万円 42.1歳 18.6年 21.7時間 11.8日
丸紅 1322万円 43.1歳 15.1年 26.6時間 13.3日
住友商事 1304万円 42.7歳 18.4年 10.7日

【分析ポイントをご紹介】

  • 平均年齢は?→同じ年収でも平均年齢が低い会社の方が生涯給与は高い
  • 残業時間は他社と比べてどうか?有給は取得できているか?→仕事とプライベートの両立
  • 勤続年数は極端に低くないか?→早期退職者が多い会社ではないか?

総合商社の年収なぜ高い?

理由は2点あります。

  1. 在庫がなく、利益の多くが人件費になる
  2. 海外赴任の手当が高い

①在庫がなく、利益の多くが人件費になる

商社の事業の柱であるトレーディングは、仲介手数料により収益をあげます。

トレーディングは、流通の経路を確保することが仕事で、商品の在庫を持つ必要がありません。

在庫を抱えないため、商品ロスによって負債を抱える心配がなく、利益がそのまま人件費にまわるのです。

また、商社は業界規模が大きいため、一度の取引で大きな金額が動き、結果的に取引あたりの利益も大きくなり、高い年収が維持できます。

②海外赴任の手当てが高い

商社では、国内のみならず海外でも広く事業を展開しているため、海外赴任のチャンスが多くあります。

そしてこの海外赴任中には、海外の危険性を考慮し各種手当がつきます。この手当が手厚く、「海外赴任をすれば、家が一軒建つ」とまで言われるほどです。

商社に勤務すれば必ずしも海外で働くわけではありませんが、規模の大きい企業では、海外赴任を希望していればチャンスが回ってくる可能性が高いでしょう。

商社のビジネスモデルは?

総合商社のビジネスモデルは、大きく分けて以下の2点です。

  • トレーディング
  • 事業投資

それぞれ簡単にご説明します。

トレーディング

トレーディングとは、需要と供給を結びつけるために商社が仲介する事業のことを言います。製造した商品を売りたい企業と、その商品を買いたい企業を顧客とし、マッチングを目指します。

ざっくりと言うと、モノを右から左に流す事業です。

トレーディング業務による商社の収益は、コミッションマージンです。

コミッションとは、需要者と供給者の間の取引を仲介したことによる販売手数料です。

自前の販売ルートを持たないメーカーの代わりに、商社が流通を担い、売り上げから一定の割合を手数料としてもらいます。

マージンとは、売買差益です。仕入れ値より高い値で売ることで、商社の収益になります。

取引先Aから買った商材に、自分たちの稼ぎ(中間マージン)を上乗せして取引先Bに売るということです。

事業投資

事業投資も商社の重要な収益の一つです。様々な企業へ出資することで金銭的なリターンやシナジー効果を得ています

事業投資のプロセスは、3段階あります。

  1. 将来性がある企業の株式を買収。(その企業の大株主になる。)
  2. 投資先企業の企業価値を最大化するために、経営に継続的に参画する。
  3. 総合商社のノウハウやネットワークの提供により、企業価値向上につなげる。

具体的な投資事例を見ていきます。

例えば、三菱商事はローソンに出資しています。2017年に株式公開買付け(TOB)を実施し、出資比率は50%を越えました。

この出資によって、ローソンが生み出した利益の半分を、会計上、三菱商事の利益にできます。これが三菱商事の直接的な利益となります。

利益はこれだけではありません。総合商社を核として企業グループを形成することによるシナジー効果も期待できます。

シナジー効果とは、複数の企業が協業することで、各企業が独自に活動した場合以上の利益を上げられるというものです。

具体的に言うと、ローソン側は、三菱商事グループのスーパーと連携を強化することが可能になり、物資調達がしやすくなるメリットがあります。

また三菱商事は、ローソンが持つATM網を活用して、ローソン銀行を生み出し、金融業に進出する足掛かりを作りました。

総合商社5社の特徴は?

商社では、扱う商材によって「資源」と「非資源」に分けられます。

資源と非資源の違いとは…?

伊藤忠の定義によると、

資源」とは、金属資源とエネルギー資源のことを指します。

非資源」とは、「生活消費関連」(繊維・食料・住生活・情報・金融)と「基礎産業関連」(機械・化学品・石油製品・鉄鋼製品)のことを指します。

商社は各企業で得意な領域が異なります。

5大商社それぞれの特徴を資源と非資源に分けてご説明します。

三菱商事の特徴

分野 特徴
資源
(市況系)
石炭・LNGが強い。チリでの銅事業の収益貢献も大きい。
非資源
(事業系)
 子会社化したローソンの食料や機械といった基盤がある。

 

最近では、ノルウェーと地理でのサーモン養殖や、東南アジアでの自動車販売が好調。

伊藤忠商事の特徴

分野 特徴
資源 金属分野では、金属鉱山資源開発や、鉄鋼製品加工事業を手掛ける。

 

エネルギー分野では、原油・天然ガス開発プロジェクトを実施。

非資源 祖業の繊維や食品、機械、情報が強い。

 

最近では、中国国有企業のCITICに巨額投資、提携を行った。また国内ではユニー・ファミリーマートホールディングスの子会社化を完了した。

三井物産の特徴

分野 特徴
資源 資源分野では総合商社首位。特に鉄鉱石は金属三大メジャー(伯ヴァーレ・英豪系リオ・ティント・豪英系BHPビリトン)に次ぐ規模。原油や天然ガスも強い。

 

最近は米国で手掛けるメタノール事業が好調。

非資源 機械・科学・海外発電が強い。

 

最近は、懸案事項だったブラジルの穀物集荷事業から撤退を決めた。

丸紅の特徴

分野 特徴
資源 非鉄金属の原料開発や取引仲介、原油・ガス開発や取引仲介を行う。
非資源 特に海外での発電事業(Independent Power Producer : IPP)が国内商社でも首位。

 

穀物やパルプ、米国を中心とした農業資材販売が強い。

住友商事の特徴

分野 特徴
資源 住友系企業と関連性が高い「金属」分野が強く、非鉄(鋼材・鋼管・アルミ精錬)が柱。
非資源 CATV、TV通販といったメディア事業や油井管で商社首位を誇る。特にTV通販は、シェアが35%を超える。

中途採用の募集職種は?

では、実際にどのように中途採用は募集されるのでしょうか。

業界1位の三菱商事の2018年の中途募集要項をまとめてみました。

総合商社は、新卒を育て上げる文化が強いため、中途の採用倍率は100倍ともいわれるほど、狭き門です。

2018年度のキャリア採用(春採用)は終了しましたが、そこで募集していた職種と求める人物像は以下のようになります。

募集職種によって、取り扱う商材や必要な専門知識は異なります。応募時には、募集要項を確認したうえで自分に合った職種に応募するようにしましょう。

コーポレートスタッフ部門 法務部(2名)

世界各国でのビジネスやプロジェクトに関する法務業務です。

幅広い法務部の業務を担え、英語をはじめとする外国語能力の高い人が求められます。

エネルギー事業グループ エネルギー資源第一/第二本部(1名)

LNG(液化天然ガス)プロジェクトを行う部署です。

エネルギー関連分野、特にLNGプロジェクトに関する業務の経験と、業務遂行に十分な英語力(最低TOEIC860点以上)が必須です。

機械グループ 自動車事業本部 自動車北アジア部(1名)

中国・台湾・韓国を担当地域とする部署。中国市場での事業推進・事業展開を図るための募集です。

中国の政治事情や文化を理解し、中国語でビジネスができる人材(HSK4級以上)が求められます。

機械グループ 自動車事業本部 自動車リテイル・モビリティサービス部(1名)

自動車産業の構造変化を見据え、既存事業の基盤を活かしながら新規案件の開発に取り組む部署です。

自動車関連企業に勤務、又はコンサルティング経験があり、ビジネスレベルの英語力(TOEIC730点以上)が求められます。

機械グループ いすゞ事業本部(2名)

海外でいすゞ自動車販売に関する事業を展開する事業部です。

海外(ASEAN・アジア・インド・豪州・中米等)の新規市場を開拓するため、自動車の販売・マーケティング経験や業務遂行に十分な英語力が求められます。

生活産業グループ 生鮮品本部 水産部(1名)

主要水産物の生産(養殖)から加工まで、グローバル事業を展開する部署です。

マーケティングに関する知見や、海外で食品の流通や販売に携わった経験がある人が求められます。

さらに、中国語やスペイン語等の会話力やM&Aの経験があれば望ましいです。

生活産業グループ 生活原料本部/穀物資料部(2名)

穀物のグローバルな調達を行い、安定的な供給を行う部署です。

TOEIC730点以上の英語力が必須で、M&A、事業分析、業界分析やリスクマネジメントの経験等があれば望ましいです。

三菱商事の2018年度の中途募集は終了しています。最新情報はHPを随時チェックしてみましょう

商社で求められるスキル・能力は?

では、商社ではどのようなスキルが求められるのでしょうか。

今回は以下の4点をご紹介します。

  1. 語学力
  2. 柔軟な思考
  3. リーダーシップ
  4. バイタリティ

それぞれ解説していきます。

語学力

総合商社では、海外展開している仕事が多いため、英語力は必須です。

TOEIC730点以上は確実にいるでしょう。さらに海外とのやり取りが多い部署だと、TOEIC860点以上が必要になってきます。

また、英語以外にも読み書きや会話ができる言語があれば、有利になります。

柔軟な思考

総合商社では、既存の枠組みにとらわれずに、柔軟な発想ができる人材が重要です。

特に、商社が近年力を入れている事業投資の分野では、時代の流れを見て成長するビジネスに投資できる能力が利益を左右するからです。

リーダーシップ

商社では、様々な国籍・人種を束ねてプロジェクトを遂行していきます。

文化や慣習が違ったとしても、すべての利害関係者をまとめるコミュニケーション能力が必要になります。

バイタリティ

商社の仕事はとてもハードで、体力勝負になる時期があります。

激務に耐えうるバイタリティが必要になります。

商社の業界動向!現状と今後の課題は?

商社と言えば、2016年に資源安が原因で、資源に強かった三菱商事と三井物産の収益が落ち込み、逆に非資源分野に強みを持っていた伊藤忠商事が躍進したことが記憶に新しいかと思います。

しかし、現在では各社が増益を見込んでいます。なぜ業績が回復したのかと今後も成長し続けるための鍵をご紹介します。

業績悪化に歯止めがかかった理由は?

「金属などの資源価格が回復したこと」「資源価格に影響を受けやすいビジネスに危機感を覚えた各社が非資源部門を強化したこと」により、「資源」「非資源」の両輪で稼ぐ体制が整ってきたことが大きいです。

また、従来から資源の権益で手堅い事業構造を積み上げているため、市況が回復したことにより収益悪化に歯止めがかかったと言えます。

成長するための鍵は?

商社業界が成長するための鍵は、以下の2点です。

  1. 海外市場の開拓
  2. 最新技術を活用した既存事業の価値向上
  • 海外市場の開拓

低成長な日本より、サプライチェーンをグローバル化した方が、事業が成長しやすいと考えられます。

例えば、鉄鋼取引の拠点をシンガポールといったアジアに移すことで、中国や東南アジアのインフラ需要を取り込みやすくなるでしょう。

  • 最新技術を活用した既存事業の価値向上

人工知能(AI)といった技術を使い、既存事業の魅力を高められると期待されています。

例えば発電事業の場合、発電所をIoTで制御して発電ロスを減らすことで、新たに発電するのと同じ規模の供給が見込めます。

おわりに

商社は、時代と共にビジネスを変えてきた業界です。昔はトレーディング業務が中心でしたが、今は軸足を事業投資に移しつつあります。

また、総合商社の業務内容は多岐にわたるため、今のあなたの強みが発揮できる職種を選んで応募することが、転職への第一歩になるでしょう。

人気業界の商社に転職するには、高い倍率をくぐり抜けなければいけません。

商社へ転職したい方は、転職のプロである転職エージェントの活用もおすすめです。

転職エージェントを利用したことがない方は、まず以下の記事からご覧ください。

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